管理戸数200戸以上なら賃貸管理業の登録必須!賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律について
不動産仲介業を営む際に必要な「宅建業登録」に馴染みのある方は多いかもしれません。しかし賃貸住宅管理業においても、一定の要件に当てはまる業者には登録が必要であることはご存じでしょうか。この記事では、賃貸住宅管理業登録の背景や必要性、登録手続き、そして行政書士に依頼する利点について解説します。

1. 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律とは?
1-1.制定の背景
令和4年に施行された賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律は、社会経済情勢の変化に伴い、国民にとって賃貸住宅の役割の重要性が増大していることに鑑み、賃貸住宅管理業に登録制度を設けることで、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図ることを目的として制定されました。
制定の背景には、近年の賃貸管理業務が多様化・複雑化していること、管理業者と入居者間でのトラブルが続発していることが挙げられます。国民生活センターの統計によると、賃貸住宅をめぐるトラブルは毎年3万件以上報告されているともいわれています。また、オーナーの高齢化に伴い相続が発生し、自主管理から管理業者に管理を委託するケースが増加していることも要因のひとつとされます。
1-2.賃貸管理業登録制度のポイント
この法律によって、賃貸管理業は下記のような義務が課せられています。
①管理戸数が200戸以上なら登録義務あり
・管理戸数が200戸以上(自己所有物件の管理は除く)の賃貸住宅管理業を営む場合は、この法律により登録が義務付けられています。
②「業務管理者」の設置が必要
・営業所又は事務所ごとに、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する業務管理者を1名以上配置することが義務付けられています。賃貸不動産経営管理士もしくは宅地建物取引士の有資格者であることだけでなく、管理業務に関する2年以上の実務経験があること、さらに宅建士の場合は講習の受講も必要となります。
③登録後、5年ごとに更新が必要
・登録の有効期限は5年間です。引き続き登録を受ける場合は、所定の期間内に登録の更新申請が必要となります。
この他、登録に際し欠格事由等や、業務を営む上での帳簿管理の義務なども定められています。自社が賃貸住宅管理業の登録を受けなければいけないのか、その要件を満たしているのか、事業を適切に継続するためにはどのようなことを遵守する必要があるのかを十分にチェックしておく必要があります。
1-3.登録をしないとどうなる?
上記の通り、賃貸管理業としての登録義務があるのにもかかわらず無登録で賃貸住宅管理業を営むと法律違反となります。違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる可能性があります。また、業務管理者を
さらに、業務改善命令や業務停止命令などの行政処分の対象となることもあります。行政処分を受けて企業名が公表されてしまうと、社会的信用を大きく失墜させることにもつながります。適切な登録を行わないことで、事業の継続に重大な支障をきたす可能性がありますので、賃貸管理業を営もうとしている方は特に注意が必要です。
2.賃貸管理業の登録方法は?
2-1.電子申請システム(GビズID)へ登録する
賃貸住宅管理業の登録申請を行うには、まずGビズIDへの登録が必要です。GビズIDとは、政府が提供するオンライン申請システムで、各種行政手続きを電子的に行うための共通認証システムです。これにより、申請者は複数の行政サービスを一つのIDで利用することができます。
GビズIDの取得後、必要書類を準備し、オンラインで申請手続きを進めます。
参考:GビズIDとは?
2-2.登録までどのくらいかかる?
登録申請から認可が下りるまでの期間は、通常約90日程度とされています。ただし、申請内容や提出書類に不備がある場合、さらに時間がかかる可能性があります。スムーズな登録を行うためには、必要書類の準備や申請手続きを踏まえて確実に進めなければなりません。
3.行政書士に依頼するメリットは?
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律は、令和になってから制定された比較的新しい法律です。不動産業に従事している方でも詳しくない方が多いのが現状です。行政書士に依頼することで、本業に専念しつつ、専門家のサポートを受けて手間と時間をかけることなく、効率よい申請手続きを進めることができます。
賃貸住宅管理業の登録は、企業の信頼にかかわる重要な手続きのひとつです。特に、管理戸数が200戸以上の事業者は、登録が法律で義務付けられていますし、無登録での営業は厳しい罰則の対象となるだけでなく、行政処分を受ける可能性もあります。「時間がなくて登録できない」「法律の知識がない」として先延ばしにしてしまうのは、管理業経営における大きなリスクとなり得ます。
当事務所では、宅地建物取引士資格および不動産管理業の経験のある行政書士が対応いたします。ご不明点などがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。